就労ビザ申請に必要な書類を徹底解説!

書類審査の功罪

日本の場合、就労ビザの審査は、書類審査です。不法滞在者などを除き、原則として面接審査はありません。書類審査は審査の迅速化には欠かせない制度なのですが、書類の完成度、つまり書き手の文章力によって結果が左右されるという恐ろしい側面もあります。

ですから、就労ビザを確実に取得したいなら、どんな書類をどのように作成・準備して申請するかが非常に重要です。就労ビザ申請に必要な書類は、会社の規模や業種、本人の学歴等によって異なりますが、最低限必要な書類は下記になります。ただし、下記の書類を提出すれば、審査はしてもらえますが、許可を保証するものではありません。なぜなら、就労ビザの基準を満たしているという説明責任は、会社側および本人側にあるからです。

審査をする役所(入国管理局)では、毎日、膨大な数(長期在留外国人だけでも220万人以上います)のビザ審査を行っています。いちいち、「御社の場合は、あとこれとこれを提出して、このことについて説明書を書いてください。説明書を書くときは、入管法の○条に書かれていることを意識して、その条文の要件を満たしているか考えながら書いてくれると審査しやすいです。そしてそれを立証するための証拠があるといいですね。例えば○○~」などと言ってもらえることは少ないでしょう。ですから、どんな人にも共通する必要最低限の書類が公表されており、その書類が出されていれば、審査を行ってもらえます。一部上場企業であれば、必要最低限の書類だけ完璧に提出しておけば、かなりの確率で許可になります。しかし、上場企業でない場合、必要最低限の書類だけでは絶対的に不十分です。

これだけは出さないと受付拒否される

全ての方に共通する書類は以下となります。これらの書類が揃っていないと、受け付けてもらえません。年度末などの忙しい時期などは、顎で「しっし」と追い返されてしまうこともあります。

【外国人が用意する書類】

  • 在留資格申請書
  • 証明写真(直近3ヶ月以内に撮影したもの。4cm×3cm)
  • 最終学歴の卒業証明書
  • パスポート
  • 在留カード(保有している方のみ)

【会社が用意する書類】

  • 登記事項証明書(法務局発行)
  • 会社案内
  • 雇用契約書もしくは労働条件通知書
  • 直近年度の決算書類
  • 直近年度の源泉徴収の法定調書合計表(税務署受付印付き)
  • パスポートのコピー(相手国へ行っている場合、そのスタンプページ)

上記の中で、一番重要な書類が在留資格申請書です。この在留資格申請書を見ると、申請内容の全体像が分かるようになっています。海外から呼び寄せる場合は、「在留資格認定証明書交付申請書」、既に何等かのビザで日本に住んでいる人が就労ビザを取りたい場合は、「在留資格変更申請書」、既に就労ビザを持っている人がビザを延長した場合は、「在留資格更新申請書」を使用します。この書式を間違えると、一切受け付けてくれません。入国管理局は全国に50カ所以上あり、多少というか、かなりローカルルールがあるのですが、この点に関しては、全国統一の扱いです。対応に全くぶれがありません。用紙を間違えると一切受け付けてくれないのです。書き直すだけならまだよいのですが、申請書には、会社の代表者(通常は代表取締役)の印鑑が必要です。せっかく代表者印をもらったのに、再度もらう必要が出てきますので、書式の間違いには十分に注意しましょう。

この書類を出さないと、かなりの確率で不許可になる

〇採用経緯および職務内容説明書

会社の事業内容、今般の採用経緯、当該外国人が担当する職務内容、給与体系、今後のキャリアプラン、労働契約の補足説明などを書く書類です。書式は自由です。通常、A4用紙に、3~10枚くらいで書くことが多いです。場合によっては、入社3年目までの育成計画書や組織図などを添付することもあります。また、今回の外国人採用を機に、新規事業を開始する場合(例えば、これまで国内販売のみだった会社が貿易事業を開始するような場合)には、その貿易事業に関する事業計画書、収支予算書(今後2年分)、取引候補先の詳細情報、新規事業計画に関する役員会の議事録なども添付します。その他、当該事業に関して政府や自治体の補助金、助成金が出ている場合には、その関連資料も添付したほうがよいでしょう。

〇本国の教育制度と現行運用についての調査資料

査証免除国(簡単にいうと欧米先進国、韓国、シンガポールなど。ビザなしで双方の国に観光目的での入国ができる国)の場合、不要とされることが多いですが、アジア、中南米、アフリカ諸国の場合、本国の教育制度に関する説明書類と根拠書類を求められることがあります。当事務所のようなビザ専門事務所に依頼されている場合、事務所側で調査、作成しますが、自社で手続きされる場合は、文部科学省や外務省で公開されている資料、関連文献などを添付します。また。本国大使館や本国の官憲等にて直接確認したほうがよい場合もあります。大使館によっては、詳細な資料を配布していることもあります。いずれの場合も、日本語訳が必要です。

〇翻訳書類

本国の高騰教育機関(大学院、大学、高等専門学校、職業大学校など)を卒業している場合、卒業証明書や学位証明書などの日本語訳も必要です。建前としては、翻訳は誰がやってもOKとなっていますが、実際は専門の翻訳会社に依頼したほうがよいです。なぜなら、本人自身が、本国の教育制度を明確に理解していないことも多く、難解な学術用語を正確な日本語で訳すのは、専門家でもなかなか難しいからです。過去に実際にあった事例なのですが、本当は〇〇専門大学院修了(日本の大学院1年次修了相当)と訳すべきなのに専門学校卒業と書いてしまったばかりに、就労ビザが不許可となってしまったケースがあったようです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする