退社後の守秘義務
国や地域によっては、前に勤務していた会社の内部情報を転職先に話すのは当然という文化もあります。多くの日本企業、日本人は「信義則」という概念を持っており、契約書を交わしていなくとも、業務上知りえた会社の内部情報を他社には漏らさないという倫理感を持っていることが多いです。
ですが、海外では、契約書に記載なければ、会社の内部情報だろうが何だろうが、求められればどんどん開示する考え方も認められています。
ですから、外国人社員が退社する際には、業務上知りえた内部情報は他社に口外しないという契約を結んでおきましょう。
類似商品の販売禁止という文言だけでは不十分
この点も退社後にトラブルになりやすいです。例えば、ある会社で、医療機関向けに通訳サービスを行っていたとします。その会社では、主に大学病院向けに通訳者派遣、電話通訳のサービスを提供していました。今後、AIを活用した自動通訳を開発しようと考えていたところ、開発担当者であった外国人社員Aさんが退社してしまいました。
Aさんは退社後、独自でAIやRPAを使った自動通訳システムを開発し、主に中小の民間病院向けに販売を始めました。Aさんが退社時に会社と交わした契約書には、「退社後、5年間は、類似商品の開発・販売を行わない」という文言がありました。
しかし、この類似商品という文言はあいまいな表現です。Aさんは、「前社で販売している商品と自社の商品は、販売先も仕組みも異なるから類似商品ではない」と主張しています。
この場合は、「類似商品」という文言ではなく、「医療機関向けの通訳翻訳、それに関連する商品の開発、販売を行わない」という文言にすべきでした。
この他、会社の業種や本人が担当していた職務内容によっては、他にも記載すべき文言が多数あります。東京ワールド行政書士事務所では、外国人雇用に関するさまざまな課題に対応するコンサルティングを行っております。単発サービス、年間顧問サービスなど、ニーズに合わせて対応可能です。詳細は東京ワールド行政書士事務所までお問い合わせください。